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The GIFT
The GIFT
プレゼントが彩る12の物語(4)天木 麻乃
風邪をひいた日は
いつも彼女が作ってくれる おかゆ
ゆっくりと柔らかく炊いた白いおかゆに
塩と、卵を溶き入れて
僕はその味がたまらなく好きだ
ずっと昔から
僕はこの味を知っていた気がする
優しくて
温かくて
まんまるの味だ
レンゲを使い、一口一口、
ゆっくりと口へ運ぶ
どんな特別な日よりも
どんな高級なレストランよりも
僕が一番かけがえのないものも
貰っていると感じるのは
こんな瞬間なのだ
こんな風に
人と人は、家族になっていくのかな
熱に浮かされた頭で、
ぼんやりとそんなことを考えている
窓の端では、彼女が干してくれた洗濯物が
風に煽られてひらひらとたなびいている
そんな午後だ