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ひだまりに咲く犬 7神埼 寧

わたしは譲渡の手続きをすませて、白い犬を自宅に連れて帰ることにした。なんの準備もしていなかったから、途中でペットショップに寄る。そこでケージとドッグフードを買った。

家に帰り、ケージの中に入った犬を母に見せた。驚いたように目を丸くしていたが、やがてやさしくほほえんだ。

「いい子が見つかったのね」

そっと包みこむような声に、一度だけうなずく。

「名前は、たんぽぽにしようと思う」

ケージから出た犬を近くで眺めていた花梨が声をあげる。

「綿毛みたいに白いから?」

うん、それもある。でも、他にも理由があるんだ。

「なになに?教えて」

この子は綿毛になって飛んでいく前に、地面に根を張って大きくなって……花を咲かせると思う。だから、たんぽぽ。

 

——第八話につづく

 

Nei Kanzaki
Writer/Novelist
URL:https://twitter.com/nei_knzk