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三日間だけ生えた羽 第一話柊 織之助
あらすじ:高校の同窓会に参加した主人公・文(あや)。社会人として成長した姿を見せる旧友たちと違い、いつまでも大人になれない自分。そんなとき、ふいに高校3年生の夏を思い出す。天使見習いのルーナと出会い、三日間だけ羽が生えた日のことを。
第一話
二十四歳になった私は同窓会に来ていた。
メンバーは高校の同級生。百名近くの同級生はみんな立派に見違えていた。私は変わっていない。
「まだ旅に出ているのか」
テーブルの近くで慣れないワインを片手に突っ立っていると、声をかけられた。
「楽しそうでいいな」
「旅じゃない。人探し」
私と高校時代、一緒にばかをした武雄はスーツを着こなしていた。今は銀行員らしい。私といえば、パーカーでスニーカーだ。
「さすがに大人になったと思ったんだがな」
武雄は私の服装を舐め回すように見た。
「私だってなりたかったさ」
子どもの私は、こう返すのが精一杯だった。
—第二話につづく
Orinosuke Hiiragi / Novelist