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ガールフレンド/ガール・フレンド - 1大月輝
自分を喜ばせることは、想像以上に難しい。私が瞬間的に喜ぶことと、長期的に見て私のためになることは違うから。無事にクライアントへの挨拶、共同マーケティングのプレゼンテーションが終わった帰りの電車で、ぼんやり携帯をスクロールする。今日はまだ水曜日。明日・明後日と、まだ出勤日はあるけれど、正直私の気力はもうゼロ、自分が使い物にならないだろうと分かっていた。
携帯の画面に「今日はあなたの友人Rさんの誕生日です、お祝いしましょう!」というメッセージが届く。カフェへのギフト券なんてどうですか、とチャットアプリに提案されるがままに、私はその友人にギフト券を送った。大学を卒業してから会っていないから、多分もう三年になる。好きなアーティストのSNSを見る気にもなれず、私は携帯の電源を切って目を閉じた。
—第2話につづく
大月輝 / Novelist