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ガールフレンド/ガール・フレンド - 2大月輝

ガールフレンド/ガール・フレンド - 2

緊張が解けて脱力感に見舞われる日は、帰って真っ先にルームミストを使う。パンプスに押し込んでいた指を解放して、スカートからルームウェアに着替えて、Lo-fiミュージックをスピーカーで流す。それから、キッチンまずするのはお湯を沸かすこと。

野菜具だくさんのスープを作りながら、Rのことを思い浮かべた。どうして突然誕生日ギフトを贈る気になったのか。大学在学中、一緒にヨーロッパを巡る約束をしていたけれど、うやむやになって終わって以来、連絡を取っていなかった。

彼女の柔らかな黒髪がふわりと意識に立ち上って、見るとスープの鍋が沸騰していた。私は紅茶のカップを取り出して、やかんからお湯を注ぐ。そういえば、一緒にイギリスに行く約束をしていたっけ。
 
 
第3話につづく

大月輝 / Novelist