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小さなドラマの小さな駒たち - ② 「不風流な俳句」田崎ゆきこ
第2話
『不風流な俳句』
私は、実は誰にも言っていない趣味があったりする。新聞への俳句投稿だ。これに掲載されると五百円の図書カードがもらえるのだ。
句会に入っているわけではないし、講座に通ったこともない。全くの我流で、なんなら、季語すら気にしないで、詠む。
この百合や 女優のような作り笑い
ケーキより 求むシャンペン 生誕祭
この靴を買うためずっと おにぎりかな
日記がわりのような、落書きのような、そこまでも到達していないとさえいえる雑文。頭の中で、言葉遊びをしている時間、ブロック遊びをしている幼児のように、熱中している自分がいる。
ごくまれに新聞に掲載されて、ご褒美でもらえる図書カードは、私の宝物だ。大事に、ハンカチに包んでしまってある。
YUKIKO TASAKI