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小さなドラマの小さな駒たち - ④ 「切手美術館」田崎ゆきこ

小さなドラマの小さな駒たち 4

第4話
『切手美術館』

 私は施設美術館館長としての顔を持つ。その所蔵品は、国内外を問わず、古典派、印象派、フォービズム、ポップアートにアニメ、風景、自然の造形。ジャンルの幅広さは他の追随を許さない。
 そして、その絵画は極めて小さい。2センチ前後の長方形の、郵便物を運ぶという主要目的のある、切手と呼ばれる愛らしい紙片。  
 私は切手を、小学生のころから、収集している。合計5冊ある切手ファイルに保存して、今も、時折、郵便局を訪れては、新作を買っている。熱烈なコレクターではないが、凝縮された美の塊が手元に増えると、頬を緩ませてくれる。この切手を買ったのは、確か、高校生のころ。ちょうど友人関係に悩んでいたな、と当時のノスタルジーへの後押しをしてくれる。
 たまには時代を振り返り、自分に優しいまなざしをむけるのは楽しい。

YUKIKO TASAKI