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わたしの、宝石箱。(3)雁屋 優
ある日の終業間近。「ラーメンが食べたい」と天啓のごとく気持ちが舞い降りてきた。ラーメンが食べたい。ラーメンが食べたい。サラダじゃなくて、ラーメンが食べたい。ラーメンが食べたいと思ったから、今日はラーメン記念日。
夕方、もうラーメンのことしか頭にない。だってせっかく北海道にいるんだもの。札幌のラーメンを食べつくさなきゃ損じゃないか。友達を誘おうかとも思ったけれど、それよりもラーメンのことで頭がいっぱいだ。雨が降っているけど、そんなことは関係ない。私は足早に行きつけのラーメン屋へ向かった。
お店の前に着くと、おいしいスープの香りが私を包む。この香り、とても幸せになる。今日もおいしいと確信しながら、のれんをくぐった。