足るを知らぬ消費社会への風刺/バンクシーの「Shop 'til You Drop(くたばるまで買う)」ノンマリ編集部
こんばんは。心のキーアイテムを探すアートの旅。今夜のセレクトはこちらの作品です。
バンクシー「Shop 'til You Drop」
ショッピングはお好きですか?デパートに行くとワクワクしたり、雑誌を見ているとあれもこれも欲しくなったり。ショッピングと聞くと、キラキラ輝いているような、そんなイメージがあります。
今回ご紹介するこの作品、実はビルの壁の高いところ(地上から約7メートル)に描かれています。場所は、高級ブランドショップが立ち並ぶエリア。絵には、ヒールを履いた女性に、ショッピングカートの中はネックレスやシャンパンが描かれています。実際に壁の絵を見上げると、きっとショッピングカートと女性が上から落ちてくるような印象でしょう。
なぜ、女性は落ちてしまったのでしょう?ショッピングを楽しんでいるうちに、つい足を踏み外してしまったのでしょうか。いえ、買っても買っても満足できず、借金を背負った転落の人生を描いているのかもしれません。いえ、もしかすると、消費に夢中な私たちが陥っている、大量生産と大量廃棄の沼に落ちていくところを描いているのかもしれません。はたまた、富めるものが弱者から搾取して成り立っている、資本主義の終焉を描いているのかもしれません。
もっと良いものを、もっとたくさん、望めば望むほどに落ちていく世界。作品タイトルは、「くたばるまで買う(Shop 'til You Drop)」。
この作品のアーティストは、現代アートを代表するバンクシー。現代アートと聞くと少し小難しい印象もありますが、バンクシーはわかりやすい風刺画で、現代社会の問題を批判する作品を、ストリート・アートとして多く発表しています。
何気なく平穏に生活していると、見逃したり気付かなかったりすることが多くあります。アートから社会問題を学ぶ、それだけでも、素敵で大切な社会活動。
さあ、最後にバンクシーの作品をもう1点。
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男の子がヒーローの人形で遊んでいます。コロナウィルス感染症に黒人差別問題...今宵、あなたはこの絵から、何を思うでしょうか。
製作年:2011年
種類:ステンシル
製作場所:London Mayfair