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わたしの、宝石箱。(5)雁屋 優

かき氷が好きだった。そう、好きだった。それは昔のこと。今ではあの甘いシロップも、キンキンに冷えた氷も、魅力を感じなくなってしまった。

かき氷はおいしかった。おいしかったあの頃に戻って、かき氷をおいしく味わいたい。他にもいくつかの食べ物を受けつけなくなった。昔はパクパク食べていたそれらが、今や体調を崩す要因になってしまっている。

こうやって、味覚が変わっていく。それを人は老いていくというのだろうか。たくさんの肉も、ごはんも、そのうち受けつけなくなってしまうのだろうか。その瞬間が怖くてたまらない。

今、目の前にあるおいしいものを、いつか食べられなくなってしまうと思ったら、切なくて、悲しくて、いとおしくて、胸がきゅうっとなる。

Yu Kariya
Writer/Essayist
URL:https://note.com/yukariya07