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わたしの、宝石箱。(6)雁屋 優
遅くなるから今日はひとりでごはん食べてね。同居人のその言葉に、私は小おどりしたい気分だった。
昔から私は、誰かと食事を共にするのが好きではない。好きなテレビ番組や映画を見ながら食べたいから。誰かと一緒だとそれは難しい。会話を強制されることもある。私はそれが窮屈でならない。
もちろん、一緒に食事をしながら会話をしたい相手もいる。けれど、基本的には食事の時間を有効活用したい人間であることには変わりない。誰かと話しながら食べるのは、たまにでいい。
同居人のいない家。しんと静まりかえった中、私は今にも歌いだしそうな気分で、コンビニで買ってきたものをテーブルの上に広げた。