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お裾分け好きの裾野さん 第五話柊 織之助

「今日はだし巻き卵です」

裾野さんは卵が入ったカゴをキッチンにおいた。

「前から思ってたんですけど、裾野さんってレパートリーが渋いですね」

「スイーツだって得意なのよ」

「和菓子ですか」

なんてちょっとからかってみる。

「和菓子だけじゃないわ、今度プリンを作ってあげる」

「やった」

「知り合いで養鶏場をやっている人がいてね。もらったの」

裾野さんが卵を三個取り出すと、ガラスのボールに割っていった。

「ここで爪楊枝」

「……?」

裾野さんが爪楊枝で卵黄を刺した。

「爪楊枝が立ってる!」

「新鮮だと立つのよ」

私が驚いている間にも裾野さんはテキパキとだし巻き卵を作っていった。

「さ、どうぞ」

「いただきます」

新鮮な卵で作っただし巻き卵は、濃厚な味がして美味しかった。

 
——第六話へつづく…

Orinosuke Hiiragi / Novelist