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ひだまりに咲く犬 11神埼 寧
「なるべく人がいないところで慣らすとか?」
花梨のアイデアに賛同し、わたしはなるべく人の少ない夕暮れの時間を狙って、たんぽぽと近所の林に出かけた。
わたしの家は小高い丘の上に建っていて、近くに自然がある。林なら今の蒸し暑い時期でも風が通るし、たんぽぽも安心するだろうと思ったからだ。
たんぽぽを抱えながら木と木の間をすり抜けて、ちょうどいい場所を見つける。そこにレジャーシートを敷いて座った。
最初は大人しくだっこされていたたんぽぽ。しばらくすると、何か思いついたようにもぞもぞし始める。
そっと地面におろすと、しきりに辺りの匂いをかいで、くるくると回るたんぽぽ。ときどき立ち止まって、わたしの顔をちらりと見てくる。
わたしは立ち上がり、たんぽぽと一緒にその場で回った。するとたんぽぽは嬉しそうにとびはねて、喜びを体で表してくる。
「林なら大丈夫そうかな?」
おどけた声を出すと、呼応するようにたんぽぽが短く鳴いた。
第十二話につづく