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三日間だけ生えた羽 第三話柊 織之助
あらすじ:高校の同窓会に参加した主人公・文(あや)。社会人として成長した姿を見せる旧友たちと違い、いつまでも大人になれない自分。そんなとき、ふいに高校3年生の夏を思い出す。天使見習いのルーナと出会い、三日間だけ羽が生えた日のことを。
第三話
「久しぶり」
私は由美に微笑んだ。高校時代、何かと心配してくれた友人だ。
「外で話さない? 酔っちゃった」
「今ならきっと涼しい風に当たれるよ」
由美は踵を返すと、すたすたと歩いていく。私は迷ってからグラスを近くのテーブルに置いてあとを追いかけたのだった。
「今はITの会社にいるの?」
会場のビルの屋上で、由美は柵に肘をかけていた。屋上は芝生になっていて、間接照明まで設置されている。見える景色は都会のイルミネーション。
「どうして」
「私服だから」
顔が熱くなる。
「こんな場所だとは知らなかったんだ」
子どもじみた言い訳を言っても、由美は母親みたいに微笑むだけだった。
「変わらないね」
子どものままだと言われたみたいで、私は顔を背けた。
「由美は、大人になったね」
—第四話につづく
Orinosuke Hiiragi / Novelist