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三日間だけ生えた羽 第九話柊 織之助
あらすじ:高校の同窓会に参加した主人公・文(あや)。社会人として成長した姿を見せる旧友たちと違い、いつまでも大人になれない自分。そんなとき、ふいに高校3年生の夏を思い出す。天使見習いのルーナと出会い、三日間だけ羽が生えた日のことを。
第九話
「三日でなんて無理だよ」
「文ならできるよ」
「嘘だ」
二日目、私は学校を休んでいた。両親は朝早くから仕事だったから、欠席がバレることもないだろう。
「そもそも大人ってなんなの」
「なんだと思う?」
「年齢が二十歳以上?」
「違うよ」
わからない。時間が経てば自動的になると思っていた。大学生になって、卒業したら大人になるのだろうか。
「この問いに答えられたら、大人かもね」
「かもって何よ」
「さあね」
この時のルーナは、妙に素っ気なかった。
—第十話につづく
Orinosuke Hiiragi / Novelist