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Letters. 君と詠む歌 第五首玉舘(たまだて)
前回までのあらすじ:天津からの提案を受けて、一緒に帰ることを承諾した玉緒。同僚の和泉に二人の前世や一緒に短歌をつくることなどを話すと、どこのB級映画だよ、と笑いながら、こう尋ねてきた。「で、好きなの?天津のこと」
第五首
君が食べたいものが食べたいと言い
ふたり途方に暮れませんか
—
ところで短歌は、どうやって作るものなのか。
「玉緒さん、短歌作ってみました?」
「少し、天津くんはどうですか」
俺も少しだけ、とはにかむ彼の天パの髪が、風でふわふわと揺れている。
「見てみたいです、玉緒さんの」
「丸裸にされるみたいで嫌です」
「確かに、いきなり裸は恥ずかしいですね」
「フェアにいきましょう」
こんな風にだれとでも話す事が出来る天津くんは、すごくしっかりしていると思う。彼の言葉はどれも仄かに恋の匂いがして、こちらに気があればすぐ始まってしまうような人。
「なにか食べて帰ります?」
「私は大丈夫です」
「えー」
こういう時は、パスタが食べたい、とか言った方が可愛いのは知っている。その可愛さが、私には似合わないことも。
「俺のこと軽い男って思ってるかもしれないですけど、違いますよ」
「知ってます、だって暑苦しいですから」
—第六首につづく
Tamadate / Novelist & Poet