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ガールフレンド/ガール・フレンド - 4大月輝

ガールフレンド/ガール・フレンド - 4

そりゃあ、まあ、普通に礼儀正しい人だったらお礼くらい言うよね。私は携帯の画面を伏せる。Rはいつだって周りに優しくて、気が利く人だった。だから、きっとこれもその挨拶の一環に違いない。Rは純粋に善意を返すことが多い、そういう人なのだ。

私は厚手のソックスを脱いだ。水を新しく注いで、勢い込んで口にする。携帯を開いてみると、お礼の他に、久しぶりに会わない?というお誘いが来ていた。私はソファの上で膝を抱え込む。クッションをあごの下に挟んで、しばらく考え込んだ。トーク画面で緑色に縁取られたメッセージが、テカテカ光っているみたいに見える。

ぜひ、私も久しぶりに会いたいなと無難な返事を返して、今度は自分のメッセージと対峙した。素っ気なさ過ぎただろうか。ついでに、とオススメのレストランを一つだけピックアップして送った。私はもう一度お湯を沸かし直し、ティーバックをつまんだ。
 
 
第5話につづく

大月輝 / Novelist