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ガールフレンド/ガール・フレンド - 10大月輝

ガールフレンド/ガール・フレンド - 10

確か私たちは、最近何を学んでいるかを話していたはずだった。最近、スコットランドで生理用品が無償化したこと、日本では未だにピルへのアクセスがしづらいこと、そしてポーランドでも中絶が違憲化した。自分の身体を知る機会、守る方法が限られていること、そこから科学とフェミニズムの話に移り、気づけば性の関係性の話になっていた。

朱莉、悪いこと言うんだね、という言葉を自分の中で繰り返す。それならもう一歩、悪くなってみようか、と混ぜっ返すと、礼奈は一瞬頷きかけて、だけど首を横に振った。力なくテーブルの上に置かれた指には血の気がない。

礼奈、と戸惑いつつ伸ばした私の手は、受け入れられる場所が見つからず、膝の上に落ちた。結婚とか、幸せになるはずの話をしてるのに、私たちなんでこんなに深刻なんだろうね?礼奈は笑いながら肩をすくめる。いつでもきらきらと輝く瞳が私に向いた。朱莉、と聞く彼女の声はどこか真剣だ。朱莉はどうなの? 本当に、気になる人はいないの?
 
 
第11話につづく

大月輝 / Novelist