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ガールフレンド/ガール・フレンド - 11大月輝

ガールフレンド/ガール・フレンド - 11

礼奈ほど不敵に、縦横無尽に人の心を撹乱できたら。こう悔しくなるのは今日が初めてではないし、乱したいのは人の心なんて一般的なものじゃない。礼奈の心が欲しかった。礼奈はいつだって、何か新しくて洗練されたものを運んでくる。柔らかい水の玉みたいな存在だった。

私のどこかに必ず嵌まりこむ、私の渇きを潤してくれるような、私よりもひと周り大きい枠を持っているような礼奈の存在の大きさに気づいたのは、卒業する少し前だった。礼奈が新しい濃い青色のワンピースを着てきた時、思わず突いて出た綺麗だねという言葉、それに笑顔になった礼奈の横にいたのは、礼奈と付き合って一年になる彼氏だった。

気になる人はいないの?この質問に、さっさと答えてしまったらどうだ。セクシュアリティを決めているわけじゃないと自分に向かって唱えていても、惹かれる気持ちが裏返るわけではない。それとも、これはガールクラッシュと呼ばれる類の感情なのか。
 
 
第12話につづく

大月輝 / Novelist