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Letters. 君と詠む歌 - index
あらすじ:前世占いで「ふたりの前世は平安時代の歌人」と告げられた玉緒と後輩の天津。ひとりで生きることに慣れきっていた玉緒は、親しげに距離を詰めようとする天津の若さを暑苦しく感じながらも、彼と二人で"ひと夏の思い出"をつくろうと考える。正反対な二人がおもしろ半分で詠んだ12首の短歌と、その歌が生まれた12の瞬間の物語。
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第一首
「同じこと考えてた」の高鳴りが 君と同じでありますように
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第二首
風呂上がり 君の返信を待ってる 髪は濡れてる 若さは溶けてる
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第三首
味気ないハートより リンゴを送る あとはあなたの 視力に任せる
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第四首
初恋の味は忘れた ノーカンで あなたの味を 教えて、今
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第五首
君が食べたいものが食べたいと言い ふたり途方に暮れませんか
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第六首
夏なのに 折るアイスすら食べてねえし 俺たちたぶん 彩度が低い
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第七首
そういえば 気が狂う前兆だった 一緒に食べた ぬるいレバニラ
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第八首
手を合わせ ごちそうさまを言う君の 夜はきっと ずっと綺麗で
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第九首
昼頃に崩れるファンデも 夜まで持つよ ひとりで生きていけるから
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第十首
もう帰る時間だね、と君は呟く だから線香花火は嫌い
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第十一首
言うべきかわからないけど おにぎりの海苔はしなしな派だよ、ばいばい
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第十二首
間違いじゃなかったけれど 正しくもなかった今日に 幕を下ろして
「Letters. 君と詠む歌」
作:玉舘(たまだて)
作:玉舘(たまだて)